室内空気中の化学物質の濃度等
室内空気中の化学物質の濃度等の表示を希望選択する場合
建設住宅性能評価申請で「(6)空気環境に関すること」6-3の表示を選択する場合、室内空気中の化学物質の濃度測定をする必要があるため、当センターでは測定器具の設置から測定結果のデータ処理までを追加業務として受理します。
新築住宅の評価項目のうち(6)「空気環境に関すること」の表示項目には、以下の項目があります。
6-1 | ホルムアルデヒド対策(内装及び天井裏等) |
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居室の内装仕上及び、換気等の措置のない天井裏等の下地等に使用される特定建材からのホルムアルデヒドの発散量の少なさ(等級)を表示する。 |
6-2 | 換気対策 |
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<イ、居室の機械換気> <ロ、便所・浴室・台所の局所換気> を明示する。 |
6-3 | 室内空気中の化学物質の濃度等 |
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ホルムアルデヒド及び、トルエンなど4種のVOCについて室内空気中の濃度について測定値・測定された条件等を明示 |
このうち6-1、6-2は【必須表示項目】であるため、設計段階に評価を行いますが、6-3については申請者の希望による【選択表示項目】であるため建設段階に実際の化学物質の濃度測定をした結果により表示することができます。(建設住宅性能評価申請の際に、選択の有無を申請書に記載ください。また、選択無しで申請された場合でも、後日追加して選択することも可能なため、ご相談ください。)
なお、化学物質の濃度を表示するためには、決められた条件の下で、専門の測定器具を用いて正しく行なう必要があり、他項目の検査に比べ時間や経費がかかりますので、予めご注意ください。
測定対象となる化学物質(特定測定物質)
空気中に含まれる化学物質は多様ですが、現時点で住宅に使用される建材などから放散され健康への影響の可能性の有ると考えられる化学物質のうち、以下5種類を選定しています。
化学物質 | 健康への影響の可能性 | 厚生労働省の濃度指針値 |
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ホルムアルデヒド | 合板などの建材や内装の接着剤等から放散、目への刺激、のどの炎症などを引き起こす | 100μg/㎥ (25℃換算で0.08ppm) |
トルエン | 内装材の接着剤、塗料などから放散、頭痛・脱力感等の神経症状を引き起こす | 260μg/㎥ (25℃換算で0.07ppm) |
キシレン | 内装材の接着剤、塗料などから放散、頭痛・不眠症等の神経症状を引き起こす | 870μg/㎥ (25℃換算で0.20ppm) |
エチルベンゼン | 内装材の接着剤、塗料などから放散、めまい・意識低下等を引き起こす | 3800μg/㎥ (25℃換算で0.88ppm) |
スチレン | ポリスチレン樹脂・合成樹脂塗料などから揮発、不快な臭い・目鼻への刺激・眠気、脱力感など | 220μg/㎥ (25℃換算で0.05ppm) |
注意点
- 建設住宅性能評価書に表示される濃度は、あくまでも住宅の完成段階のある特定条件下で測定された濃度であり、測定後の濃度変化が無いことを保証するものではなく、また、厚生労働省の濃度指針値を超えないことを約束するものではありません。
- 厚生労働省の指針値を超えた場合でも直ちに健康被害に結びつくわけではありませんし、それをもって契約に反するということにはなりませんが、こういった場合では必ず、適切な対応方法を確認することが必要でしょう。
濃度測定方法
パッシブ測定方式(パッチ法)にて測定します
品確法では空気採取方式を標準とし、これと同等の信頼性が確保できる方法を認めています。当センターが採用している測定バッチは信頼性・有効性が確認されているものを選択しています。
※パッチ法は時間平均して室内空気を吸着しますので空気採取方式と同等の信頼性の高い結果が得られ、空気採取方式に比べコストを低く抑えることが出来るためこの方法を採用しています。
濃度測定および表示の手順
濃度測定には、建物内の立入を禁止したうえで、長時間の閉め切りが必要となるため、工事完成後で引渡し前(建築主の持ち込み等による家具などの搬入が無い状態)、建設住宅性能評価の最終検査(竣工時)の際に、併せて測定を行うのが合理的です。
第1日目 | 1 | 30分間換気をします。 |
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全ての窓、全ての扉を開放します。<現場担当者にてお願いします。> (部屋内の扉や、物入れ・押入れ・クローゼットの扉なども開放します) |
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2 | 5時間閉鎖して、空気を安定させます。 | |
外部に面する窓・扉のみを締めて閉鎖します。(内部は開放したまま) <現場担当者にてお願いします。> 閉鎖中の5時間は立ち入ることが出来ません。 |
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第2日目 | 3 | 空気採取を始めます。 |
5時間の閉鎖を終わり、測定バッチを設置します。このとき当センターの検査員が設置場所を指示し、現場担当者立会のうえ空気採取を開始します。このとき採取中の平均温湿度が測定できる温湿度計も設置します。バッチ等の設置終了後再度外部に面する窓・扉のみを締めて閉鎖します。この状態で24時間の経過を待ちます。この間も立ち入りは出来ません。 | ||
第3日目 | 4 | 測定バッチ、温湿度計を回収します。 |
当センター検査員が、24時間の閉鎖を確認したのちバッチ・温湿度計回収します。以後の立ち入りは自由です。 | ||
5 | 回収されたバッチを専門機関に送り、分析します。 | |
採取された空気における各化学物質の濃度の分析は専門の分析機関に任せることとなります。また、採取中の平均温度・湿度は当センターにてデータ処理をして算出します。(測定・回収を行なってから、分析結果が出るまでに10日〜2週間程度必要となります。) | ||
6 | 分析結果を評価書に表示します。 | |
建設住宅性能評価書に、測定した状況等とともに分析結果が表示されます。 |